箱庭

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命音

2013/12/10(Tue) 00:17


鳴り響く消音を塞ぎきれずに
両耳はぶつぶつと慨嘆する
ここが世界の端ならよかったなどと
世界の端で拗ねている

外は、雨
私を通り過ぎた波紋は
だれかにねっとりと
絡みついたりしないだろうか
だれかを想う素振りで
なにかを紛らわそうという醜さが
生々しく、午後に臭う

ついに私は腐敗をはじめた
ということは生きていた
自己の中で起こる無数の自死の叫びに
後追いしたい衝動を幾度も堪え、堪え、
堪え抜いてきた、命(私)だったのに

複眼の男がにやにやと
両手を擦りながら近づいてくる
顔の溶けかかった私をいくつも映した目
まるで鏡の迷路のなか
抜け出せずに足掻いているようで
どの私も、もう救いようがなかった

強まる、雨足
私を通り過ぎた波紋は
私など気にも留めない
それは全能なる者が放る循環の輪
生きようとするものへ
潤いと気付きを与える愛だ 

消音は、止んだ
やわらかな水音が響く
両耳は命の音にすっかりと目尻を下げ
走馬灯の中の艶やかな頃が
熱として頬を伝った

遠く、波紋のさざなむ音が聴こえる



(「詩と思想」2013年12月号 読者投稿欄・佳作(小川英晴・選))


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